2010年 10月 29日

油滴天目釉の茶碗

 少し前のことになるが、8月のある日、新聞を見ていると「朝日窯で油滴天目の茶碗を作ろう」という短期の、陶芸教室の案内が出ていた。

 予々興味を抱いていた「油滴天目」の茶碗と、7年前に作陶を始めたとき、是非一度訪ねたいと思いつつ(先代がその年に亡くなったので・・・)果たせなかった 朝日窯 も訪ねることができる良い機会だと、雀喜躍躍の心地で参加申し込みをして宇治に向かった。

 京都の窯元の中でも特異な存在の朝日窯は、真に風光明媚、宇治川のほとり、宇治茶の集産地の中心に在って、茶の湯中興の名人、小堀遠州ゆかりの由緒正しい来歴を誇り、先代の考案になる特別な仕掛けによる、立地条件に配慮し公害対策の完備した、穴窯に登窯を連接した構造の玄窯(げんよう)なる有名な窯を持っておられる。

 朝日焼は独特の「御本手」と呼ばれる、胎土中の鉄分が淡雪のように現れる、上品で玄妙な味わいのある焼成で数多の茶人を魅了して来た事で広く識られている。

さて、油滴天目茶碗に関しては、先の台北訪問の折に、故宮博物院で観たものが印象深く残っているが、黒田陶苑から送っていただいた 桶谷 寧氏 の作品集などで見た記憶が在る程度で、現在では使用されていない形式の茶碗としか認識出来ていない。

 そんな訳で、形から入るには少し抵抗感が在ったので、深めに作ってみたが、すぐに反省して、もっと素直に取り組もうと心を入れ替えて作り直したのが、先月来ブログにのせた天目型の茶碗3点です。 今回やっと焼成が上がって来たのをみて、それなりに納得している。

 やはり朝日窯での作陶なので、ぜひ御本手の茶碗も作りたかったので、3ヶ月のコースに編入させていただき、自由制作の課題として御本手の茶碗を作らせていただいた。もう少し本歌に習った形にするべきだったと反省している。
 赤土が少し余ったので、九十九髪茄子風茶入れなども挑戦してみた、飴釉は初めての試み。

 最後になったが、尺壷の本焼成したものも1点披露しておく。 これは還元焼成で窯雫を意図的に落下させ景色としている、さらに降灰を加えるつもりであったが、残念ながら皹が縦に2箇所入ってしまい The End 。

本日の成果

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茶碗:銘「晨風」高さ 73mm x 口径 128mm x 高台径 46mm 油滴天目釉 赤土1230℃ 酸化焼成(電気窯)

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茶碗:銘「踟蹰」高さ 74mm x 口径 131x125mm x 高台径 46mm 並釉 白土1200℃中性炎焼成(ガス窯)

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茶入:銘「雪茄」高さ 69mm x 口径 26mm x 外径 72mm x 底径 33mm 飴釉 赤土1230℃ 還元焼成(ガス窯)

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酌壷:銘「海量」高さ 298mm x 口径 18mm x 外径 152mm x 底径 58mm  焼締 特簸信楽土 還元焼成(1230℃)


*晨風(しんぷう) :朝風、ハヤブサ  
*踟蹰(ちちゅう) :ためらう、躊躇する
*雪茄(せっか)  :シガー、葉巻   
*海量(はいりゃん):酒豪のこと    

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by takodenkama | 2010-10-29 22:56 | 作陶日記 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 朝日焼作陶館 鈴木 at 2010-10-30 16:14 x
数々の作品、拝見させていただきました。
均窯や信楽、瀬戸黒と完成度の高さに大変驚きました。
今度の作品展には是非うかがって作品を目近に拝見させていただきたいと思います。
Commented by takodenkama at 2010-10-30 19:41
先生、いろいろお世話になり、ありがとうございました。
勝手流で押し通してきましたが、近作の手捻りの薄造りの尺壷は先生の技法をしっかり勉強させていただき会得することができた結果です。
今後ともよろしくご指導の程、お願いいたします。


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