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蛸田窯・作陶日記

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2015年 09月 22日

引き出し黒茶盌 (二)


半年ぶりの焼成は黒茶碗の引き出しから始めた。

日頃、勝手流で茶を喫しているのだが殆ど例外無く黒半筒茶碗を用いている。

やはり日常的に使用するとなると、口縁部が欠けたり、皹が入ったり、時には不注意から割ってしまったりすること
もしばしばで、常に気に入った黒茶碗のストックを持っておきたい。

また友人や個展の機会に茶碗を求められた時にも、本来の茶を喫する器としての茶碗としては、黒茶碗を薦めたい。
そのようなことで、作陶の再開は黒茶碗を5点焼成してみた、また別の意味で、本来の表現者としての内在する欲求に
応ずべく、しばらく焼成していなかったセレン赤釉の茶碗も2点焼成した。

昨日戻って来たTINA(Triumph Tina,100cc scooter 1962)の整備も手を付けながらの焼成は、力仕事が重なった上
に、本日の好天と、引き出し時の窯の炎熱(1200℃)と久々の興奮と相和して、今日はとても疲れた。

此の黒茶碗に、月を愛でるならば ”此の月の月” と古来比我の地でもてはやされている故事に倣って、
李白「月下独酌」の中から”零乱” と銘々。


本日の成果
引き出し黒茶盌 (二)_e0048046_07045479.jpg

茶碗:銘「零乱」 高さ 94mm x 口径 118mm x 高台径 48mm 蛸田黒N0.2釉  土岐艾土 焼成 Sep/21/2015

月下独酌」 李白
花間一壺酒  花間 一壺の酒        
独酌無相親  独酌 相親しむ無し      
挙杯邀明月  杯を挙げて 明月を邀(むか)へ
対影成三人  影に対して 三人を成す    
月既不解飲  月既に 飲んを解せず     
影徒随我身  影徒らに 我が身に随う    
暫伴月将影  暫らく月と影とを伴うて    
行樂須及春  行樂 須らく春に及ぶべし   
我歌月徘徊  我歌へば 月 徘徊し     
我舞影零乱  我舞へば 影 零乱す     
醒時同交歓  醒時 同じく交歓し      
醉后各分散  醉後 各(おのおの)分散す  
永結無情遊  永く無情の遊を結び      
相期獏雲漢  相期して 雲漢獏(はる)かな

* 邀   = まねきよせる 
  零乱 = くだけみだれる
雲漢 = 天の川   



おまけ
引き出し黒茶盌 (二)_e0048046_08454760.jpg
Triumph Tina,100cc scooter 1962












by takodenkama | 2015-09-22 07:38 | 作陶日記


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