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蛸田窯・作陶日記

takoden2.exblog.jp
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2009年 03月 17日

「みおつくし」

火曜日(晴)24℃

利休切り型の中に「みおつくし」というのがある、紹鷗茄子茶入れのことだそうだが、これを自分用の赤色の茶入れにと思い作ってみた。

かなりキワドいもので、劇薬か毒が入っているような雰囲気になるがどうしたものか・・・・・。
とりあえず2点焼成してみた。

他に再焼成の茶盌3点、気候も24℃と快適なので、昨日に引き続いて1300℃での焼成となった。
古信楽土の茶盌は長石が溶融したが完全に溶け切っていないので再度の焼成が必要だ、
土灰釉の茶盌はかなりいい感じになってきたが、これ以上焼成するのかどうか考える所だ。

セレン赤の茶盌は今までのものとは少し違った雰囲気に焼き上がってきた、これは再焼成のときに再施釉したのだがそのときの雰囲気が異なっていたものだと思う。これでいいのかどうか少し迷っている。

本日の成果

「みおつくし」_e0048046_16205672.jpg

茶入れ:銘「蕃茄」高さ 77mm x 口径 31mm x 外径 85mm x 底径 44mm セレン赤釉 黄の瀬赤土 焼成 '09/3/17

「みおつくし」_e0048046_7395259.jpg

茶盌:銘「力行」高さ 96mm x 口径 156mm x 高台径 49mm 土灰釉 古信楽土 焼成 '09/3/17
「みおつくし」_e0048046_7371915.jpg

茶盌:銘「春心」高さ 95mm x 口径 118mm x 高台径 54mm セレン赤釉 艾土 焼成 '09/3/17

無題  李商隠

颯颯東風細雨來
芙蓉塘外有輕雷
金蟾鏁扼燒香入
玉虎牽絲汲井回
賈氏窺簾韓掾少
宓妃留枕魏王才
春心莫共花爭發
一寸相思一寸灰

 颯颯たる東風 細雨来る         
 芙蓉塘外 軽雷有り           
 金蟾きんせん 鎖を齧かみ香を焼きて入り 
 玉虎 糸を牽き井を汲みて回る      
 賈氏 簾を窺いて 韓掾かんえんは少わかく
 フク妃 枕を留めて 魏王は才あり    
 春心 花と共に発ひらくを争うこと莫かれ 
 一寸の相思 一寸の灰          


*P.S.                                   
  一なぎ一なぎ吹くさわやかな春風に乗って、か細い雨が降り始めた。     
  蓮の花が咲き乱れる庭の池のむこうで、かろやかな初雷の音がする。     
  ここ貴人の館では、誰を喜ばそうとするのか、新たに香が入れ替えられ、   
  黄金の香炉全体に浮彫りされた湿気よけのひきがえるが、          
  あたかも口をかみ合わすように、錠前がぱちりと閉ざされる。        
  やがて薫り高い香煙が客間の方に忍び入る。                
  また井戸辺では、虎のかたちを刻んだ硬玉のろくろが、つるべがひかれ、   
  井戸水が汲みあげられるにつれて回転する。                

  このように、この家の令嬢が、香をたかせ、化粧の水を汲ませるのは、恐らく、
  晋の世の大臣、賈充の娘が、父の宴会を青い簾ごしにのぞきこみ、      
  韓寿なる若い書記官をみそめたように、誰か心に慕う人あってのことだろう。 
  しかし、魏のひと甄后が、文才秀でた弟の曹植に心寄せながらも、      
  兄の曹否に嫁がせられたように、いずれは死後のかたみに贈る枕でしか    
  思いを遂げることのできない悲運に泣かねばならぬのではあるまいか。    

  うら若き人の春の心よ。それ故に、花ときそってまで、           
  その心の恋の花を咲かせようとしてはならぬ。               
  一刻の愛の燃焼は一刻ののちに灰を生み、                 
  一寸の相思(こい)はやがて一寸の死灰となること必定なのだから。     

                 高橋正巳「中国詩人選集・李商隠」       
 

by takodenkama | 2009-03-17 16:40 | 作陶日記


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