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蛸田窯・作陶日記

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2006年 07月 15日

自家薬籠中の赤くすり。

土曜日32℃(晴一時小雨)
ここのところ毎日夕立や雷鳴が聞こえる、たぶん梅雨は明けたのでしょう。

6月から始めた赤シリーズは昨日やっとその終焉を迎えた。
7月も半ばである、不順な天候と不確実な窯焚き、不十分な釉技と3拍子揃っての悪戦苦闘に終止符が打てそうだ。 
とても気に入っている”赤くすり”を自家薬籠中に納める事が出来た。
得たものは僅かで、未熟だが今後の作陶活動に大きな財産となるであろう。

大、中、小と3点焼成出来たので披露する。
一番大振りな茶碗には、喜びの表現の素晴らしい、寒山の「歳去換愁年」の詩より「愁年」と。

中間の大きさの茶碗には、大好きな、李白の「哭宣城善醸紀叟」の詩からやや自戒気味に「老春」と銘々。

いちばん小振りの茶碗には、祇園祭を、昨年より引き継だ李白の「憶東山」の詩にかけて「薔薇」と名付けておく。

昨日の成果。
自家薬籠中の赤くすり。_e0048046_12401588.gif


茶碗:銘「愁年」 高さ9.0cm x 口径13.2cm x 高台径5.4cm 赤くすり 赤土 焼成'06/7/13

歳去換愁年     寒山
春來物色鮮
山花笑緑水
巌樹舞青煙
蜂蝶自云樂
禽魚更可憐
朋遊情未巳
徹暁不能眠

歳去って,愁年を換え             
春,来たって 物色,鮮やかなり        
山花,緑水に笑い               
巖樹(がんじゅ),青煙(せいえん)に舞う     
蜂蝶(ほうちょう),自(みずか)ら云(ここ)に楽しみ
禽魚(きんぎょ),更に憐(あわ)れむ可(べ)し   
朋(とも)として遊んで,情,未だ已(や)まず   
暁(あかつき)に徹して眠ること能(あた)わず   


自家薬籠中の赤くすり。_e0048046_12353522.gif


茶碗:銘「老春」 高さ9.2cm x 口径12.9cm x 高台径5.3cm 赤くすり 赤土 焼成'06/7/13


哭宣城善醸紀叟     李白

紀叟黄泉裏
還應醸老春
夜臺無李白
沽酒與何人


          紀じいさんは黄泉の国でも、やっぱり「老春」をかもしているんだろうなあ。
          しかし冥土に李白はいないのに。いったいだれのために酒を売っているのかなあ。

自家薬籠中の赤くすり。_e0048046_12301289.gif


茶碗:銘「薔薇」 高さ8.0cm x 口径12.0cm x 高台径5.3cm 赤くすり 赤土 焼成'06/7/13

「憶東山」       李白
不向東山久
薔薇幾度花
白雲還自散
明月落誰家


東山に足を向けなくなって久しいが、      
薔薇は幾度目の花を開いたか。         
白雲はもう思い思いに散ってしまったことだろう。
明月は誰の家の屋根に沈んだかな?。      


by takodenkama | 2006-07-15 13:05 | 作陶日記


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